「個の力」

昨日のエントリで自分の中の毒をかなり吐き出したので、今日はさらっと。

自分はことあるごとに「組織」を強調しますが、世界は「個の力」を強調したフットボールを展開しているので、それについて感じていることを少し書きます。

「個の力」といってもいろんなものがあります。昨日書いた「3S」であったり、アフリカの選手の特徴であるフィジカルそのものの強さであったり、戦術眼に優れていることであったりしますが、自分が一番大事だと感じているものは「センス」です。

瞬時に変化する局面でベストまたはベターなプレーを選択することの困難さ、それがフットボールの一つの面白さだと思います。でも残念ながら、この点でセンスを感じさせてくれる世界レベルの日本人選手は限られていますし、面白さまでとなると○○くらいかもしれません(○にはお好きな人をどうぞです)。
日本はユースレベルではそこそこの成績を上げていても、年代が上がるにつれて個人もチームも壁にぶち当たってしまうような気がします。その原因は「歴史の差」であり、具体的には「フットボールに接する環境」ではないでしょうか。

「歴史の差」を原因にしていると進歩はないのですが、強豪国では幼少の頃から日常的にトップレベルのプレーを目にすることが出来、何かを感じることができます。年月をかけて「センス」や「イマジネーション」と言われるものが、体中にすり込まれ、そして五感が研ぎ澄まされていくのです。
言葉ではうまく表現できませんが、それは決して反復練習などで真似できない球捌きや展開力、そして意外性であったり、またそういうものの素地になるのかもしれません。
そしてトップレベルでプレー経験のあるコーチの指導を受けることができます。身近に素晴らしい環境があることで、「才能」が「実践的なセンス」となって開花するのだと想像しています。

たとえ強豪国でなくとも多くの国では、フットボールがメジャースポーツです。それぞれの国やクラブにフットボールの歴史があります。なにかしら「センス」の点で差がついてしまうのは、今のところ仕方のないことだと思うのです。
確かに日本人も上手くなりました。FKなど見ていると本当にそう思うのですが、流れの中のプレーを見ていると、依然として「センス」に外国人選手と何か決定的な差を感じてしまいます。そしてそれが、個々の力の集合体であるチームの総合力の差なのだと思います。

たから日本が世界レベルの「個の力」を持つ選手を恒常的に輩出し、そしてフットボールの強豪国の仲間入りを果たすには、あと何世代か必要だと考えています。
全国にクラブがいっぱい出来て、今Jリーグでプレーしている選手たちがコーチとして子供たちを指導する。それが裾野が広がり、レベルが1段上がるということだと思います。
そしてその子供たちがプレーする頃には、「個の力」を感じる選手で代表選出に悩むようになるかも・・・。自分はそんな長い目で見ているのです。