WC16日目

○ドイツ 2−0 スウェーデン


ドイツのFWを見ていると本当にうらやましい。決定力はもちろんだが、ペナルティ・エリア内からアーク付近にかけて、プレッシャーが一番厳しい場所で仕事ができている。日本のFWがポイントを作ろうとしてサイドに流れたり、本来はMFのポジションにまで下がってくる姿とは、実に対照的。


また同じ感想だけど、02WCまでのドイツはサイド攻撃が重要な位置を占めていたが、今大会は明らかに様相が違っている。もちろん今もサイドは重要な攻撃手段なのだが、まずは中央からの早い攻撃ありきで、中央を薄くするためにサイドを使っている感じさえ受ける。


この大会はミドル・シュートが多いと言われる。使用球の進歩がその理由として語られることが多いが、サイド攻撃に対する守備戦術が整備されたこともあるだろう。早いタイミングのクロスは別として、アーリー・クロスと呼ばれる位置からのパスよりは、自ら中央に切り込んで決定機を作っているシーンが増えている気がする。


これらはもちろん選手の質に依存するが、日本ではめったにお目にかかれない攻撃パターン。中田英がスペースに動き出すFWが好きなこともあるが、ゴールから遠ざかる分だけ完璧な崩し、パーフェクトなクロスが要求される。とくにフィジカル、そして決定力のないFWでは、ワンテンポの遅れは致命的。この大会でもゴール前を固められ、クロスを上げさせられている状態が多かった。


試合はホームらしく攻めたドイツの完勝。スウェーデンの退場とPK失敗がターニングポイントになったが、らしさを発揮できないまま負けてしまったという印象。


守備に難がありといわれたドイツだが、ここ数試合はゲームを支配しており、その懸念は表面化していない。アルゼンチンのスピーディかつクリエイティブな攻撃にDF陣がどこまで対処できるか。中盤が守備を意識しすぎるようだと危なそうだ。


○アルゼンチン 2−1(延長) メキシコ


1stラウンドの出来と現時点の力関係をからすればメキシコの大健闘で、自分的にはこれまでのベスト・ゲーム。ただやはりこの両チームには力の差があって、メキシコも雰囲気は感じられるが、ゴールの匂いという点では断然アルゼンチンだった。そしてサッカーは一つのゴールがすべてをひっくり返すことがあるが、そういう結果にはならなかった。


日本はメキシコを目指すべきだという人がいる。強さという点ではかなりの差があるが比較的よく似たフィジカル、ショートパス中心の攻撃スタイル、スキル重視の国内リーグ、今回の日本はやや様相を異にしたがコレクティブなサッカー、そして国内選手中心の選手構成など、両者の共通点は少なくはない。


現在のメキシコは、日本の進化形だと思う。目指している方向性も似ている(と勝手に思っている)。でもそのメキシコはここ一番で勝てず、WCでベスト8に進んだのは自国開催の86WCまで遡らねばならない。かつてつまらないサッカーと言われたメキシコも、世界で一定の評価を受ける国に成長してきているというのに。これがメキシコの限界かなと恐れる気持ちがあり、日本が歩む道ははてしなく遠いなと感じる。


多くの人が優勝候補の最右翼と目するアルゼンチンは、ベスト8で開催国ドイツと激突する。もしかしたらWCでは90年の決勝以来かも。くれぐれもあんな試合にだけはなりませんよーに。


(´-`).。oO(中田英敗退組ベスト11に選ばれたか...)