千葉 3−4 F東京

千葉のアマル監督が面白いことを言っていた。(千葉公式)

「今日の試合は典型的な日本のゲームだった。多くのゴールが入ったし、片方がリードしたら、また片方がリードし返す。その繰り返しだった。また、アグレッシブに走って戦ったという意味でもそうだし、最後はロスタイムに点が入って勝負がつくということにおいても、すべてが典型的な日本のオリジナルな試合だった。両チーム合わせて7点入るようなゲームで、戦術がどうだというのは間違っている。ただ、観客は満足した試合だったと思う。特に、FC東京側の観客はね。それはすごく重要なことだ」


確かに笑ってしまうくらい「典型的な日本のオリジナルな試合だった」。しかし監督自身がそれを言葉にしてよいのだろうか。たまにはこういうのもいいが、ゴールにはつまらないミスが絡み、単純な打ち合いではあっけない。
三者的には、クールなゲームではなかったし、サッカーのレベルとしては決して誉められたものではない。最近の戦いぶりからして、簡単に鵜呑みにはできないのだ。


この試合、千葉は2DF+1MFに中盤の底1枚、そいていつも通り最終ラインはマンマークだった。マンマークを崩すには、相手DFより動いて1対1の局面で主導権を握る、流動的なポジション・チェンジから相手守備陣形を崩し数的優位を作る、そしてボールを早く動かせばよいのだが、この日のF東京は狙い通りに実行できていたと思う。


監督交代によってモチベーションが高まっていたのだろうが、F東京の選手は実によく走った。ルーカスが起点となり、ウィング的な役割が特徴の2列目(ここがポイントだった気がする)にSBが絡んで、チームとしての狙いを着実に実行。両サイドが高い位置を占め、下がり目に位置していた梶山が効き、千葉の守備を混乱させていた。かつての輝きを失っていたF東京だけど、変化の兆しが出てきたのかもしれない。


一方の千葉、後半は完全に走り負け。年月を経て走るアドバンテージが薄れ、オシムたんが代表監督に就任したことで決定的になったのかも。千葉は、後ろがマンマークでボールの受け手をきっちり抑えながら前からプレスをかけるが、この日は逆に相手の早いプレッシャーにやられていた。前に人数がいても前線からプレスがかからず、高い位置をとれない。
巻はいったい何をしていたのだろう。チームとしてのタスクなのか、本人がスタイルを変えようとしているかは分からないが、終了間際のループ失敗など本来の姿を見失っているように感じる…。


そしてチームとしてボールの失い方が悪い。攻撃時にはバランスを崩しても攻める千葉らしいが、よい時(例えば浦和戦)と比べれれば周囲のフォローが少なくボールホルダーを見ている。選手一人一人の攻守の切り替えも遅い。走るべきところに走らないミスが原因でバランスを崩し、つまらないボールの失い方を頻発させていた。


前線に枚数を置くことで意識的にポジションのミスマッチを引き起こし、主導権を握るプランだったのかもしれない。しかし、選手は未消化のシステムに戸惑い、効率的な走り方ができていないと感じた。