海外移籍について

さて、鹿島が中田浩選手の移籍を拒否しましたが、個人的にはクラブの対応をとても残念に思います。選手にはよりレベルの高い場所でプレーして欲しいと願うからです。今や特定のチームをサポートすることのない私だから、こんな気楽なことを言えるのは認めます。実際に鹿サポの立場だったら、かなり複雑な気分になるでしょう。

移籍拒否の理由として鹿島の社長は、1)ただみたいな移籍金、2)2年間タイトルがなく彼は中心選手、と言っています。

クラブとしても要求するもの(移籍金)は要求すべきで当然のスタンスだとは思います。ただ移籍金は8000万円と言われているようですが、大きな怪我を経験し契約期間が満了する日本人選手としては妥当な金額ではないでしょうか。本当かどうかわかりませんが、3億6000万円なんて法外な要求はどこから出てくるのでしょう。

過去日本人選手の海外移籍は移籍金がネックになるケースがかなりありました。そのことが本人や日本のサッカー界にとって、プラスだったのかマイナスだったのか評価は難しいです。私が危惧するのは、Jのクラブが市場価格以上の移籍金を要求することによって、選手の海外移籍の道が狭くなってしまうことです。

次に中心選手だから出せないというのは、もうクラブ側の勝手な言い分にしか聞こえないです。確かに選手側の海外移籍という夢も個人のエゴと言えばエゴです。でもサッカーは世界のスポーツで、どこの国やクラブでも移籍はついてまわることです。中心選手だからいつまでもチームに残ってくれるという日本的な感覚がもしあったとすれば、違和感を感じずにはいられません。

活字になっている時点で記者の主観が入りバイアスがかかっていることは間違いないので、社長発言の真意は想像するしかありません。しかし経営者は、絶えず移籍市場を気にかけ、中心選手の移籍という事態にまで備えておくべきす。これくらい移籍金を取れれば、あのクラブの、あの国の選手が呼べる。そういうビジョンに基づいた発言とはどうしても思えないのです。

帝京高校の頃から注目していた選手なので、かなり選手側寄りになってしまったかも。中田浩選手に限らず、どんどん世界へ飛び出して欲しいものです。

* 移籍ルール
実質国際ルールと言われるUEFAルール(力と金がある移籍の本場)とJFAルールをはじめとして、各地域で移籍金(とくに契約満了時)やパスの取り扱い内容が異なっています。そのため日本では、広山選手や稲本選手の海外移籍時に問題になってきました。
また鹿島と中田浩選手の間でなんらかのオプション契約を結んでいる可能性があります。
私が書いた選手寄りのエントリが的外れである可能性もあることを念頭にお読みください。