「下部組織出身(現地育成)選手」問題のその後

先に2回ほどレポートした「下部組織出身(現地育成)選手」の件で、イングランドで議論が巻き起こっているようです。ことの発端は、アーセナルがベンチ入りを含む16人全員を外国人選手で戦ったことでした。

--- スポナビから抜粋です ---

フランス人のベンゲル監督は「指摘されるまで気付かなかった。パスポートを見て選手を選ぶわけではないからね」と涼しい顔だったが、クラブOBでもあるウォルソールのマーソン監督が「屈辱的だ。プレミアで技を磨いた外国勢が母国に戻り、国際大会でわれわれと対戦するのでは、自らの首を絞めているようなものだ」とかみついた。
プロ選手協会のテーラー専務理事も「われわれの将来のスター選手は、必要な出場機会を与えられているだろうか」と批判に同調した。怒りの矛先は、先に欧州連盟(UEFA)が導入を呼び掛けた地元選手優遇のための定員制ルールに消極的なイングランド協会幹部や、アーセナル首脳に向けられている。

現地 Guardian のコラム(英文リンク)を見てみると、名古屋グランパスエイトでも指揮をとっていたベンゲル監督がスケープゴートにされている感があります。
イングランドが1966年のWC以来、WCや欧州選手権に勝っていないことまで、今回の選手起用に関連して論議されていました。アーセナルの首脳は、ベンゲルアーセナルの監督でイングランドの監督ではないと擁護しています。

また同じ Guardian の別のコラム(英文リンク)には、英国各紙の簡単な紹介がありました。

Independent:16年前に外国選手抜きで勝利した最後のクラブが、外国人選手だけで勝利した最初のチームになった
Daily Mirror:スポナビから抜粋した二人のコメントを紹介
Daily Mail:外国人選手に頼りリーグの独自性を失ったスコットランドを例にとり批判
Daily Express:一人の自国選手もいないことを批判
Sun:若い選手が第1線で活躍することが困難になり、状況は深刻化している
Times:アーセナルもユースは自国中心、全てのトップチームがアーセナルと同じではない
Express and Star:外国人中心のクラブに声援を送るファンの忠誠心に疑問を投げかける

私はExpress and Star紙のコメントが興味深く思いました。もともと英国のクラブはプライベートな組織であり、爺さんの代から支持しているという層がコアになっていると思っていたのですが、そういう声を代弁しているのでしょうか。