マスコミへの不信

「某スポーツ新聞の記者、喋りたくないんですけど・・」

その選手曰く、話した内容と違うことが翌日の記事になった事が数回あったそうだ。話しているとその記者が「サッカー知識に乏しい」ことにも気付かされたそうだ。その記者に関して、同様の意見を持っている選手が他にも何人かいた。そう、その記者は選手達に嫌われているのだ。
西岡 明彦さんが書かれた「Watch on Footmedia メディアの裏側より」にあった、あるJリーガーの言葉だ。(Footmedia Web Column)

この類の話は以前からよく聞く話で、有名なところでは、WC期間中に勝手に代表を引退宣言させられた選手は、別の件で○○団体に追いかけられたと聞く。他にも代表拒否と伝えられて3年近く代表に呼ばれなくなった選手もいた(復帰してから専門誌に真意が伝えられた)。近いところではダービーだと思っていない発言だとか、出身国が同じだからと相撲取りのことばかり聞いて呆れられるとか、日本のマスコミはほんといろいろやってくれる。

選手のコメントを元に記事を書くというのは一般的な手法の一つなんだろうけど、肝心のゲーム内容の分析はお粗末。それどころか選手の発言そのものを面白おかしくゆがめて、それ自体をニュースにしてしまうのはフェアなやり方とはとても思えない。時には本当に取材しているのかと思うような内容の記事さえある。選手とマスコミのそのような関係は不幸なものだし、読者としてもとても信頼できるものとは言いがたい。

確かにサッカーに興味を持つ人たちを増やすには一定の効果はあるだろう。そういう観点からは、一部では酷評されている某テレビ局の中継もありなのかもしれない。しかし、そんなことで日本サッカーの底辺は拡大できるのだろうか。芸能ニュースじゃないのだから、客観的なゲーム分析や選手の評価「も」真面目にやって欲しいのである。

それと読者ではなくスポンサーの方を向いているから取り上げられる選手はいつも同じで、プレー内容が具体的な批判にさらされることがない。この点は英語圏の国と比較する限り、きわめて不健全だと感じる。そして日本では、選手選考にもそういう力学が働いているという噂まで出てくる始末で、近頃ではライターにもそういう傾向があると言われている。

その気になればネットを通していろんな情報収集が可能な時代だ。マスコミのフィルターを通さない有意義な情報は世界中にあふれているし、そちらの方がよほど質が高く、興味深いものが多い。気がつけばサッカー専門誌さえ買わなくなって3年以上が経っている。WC出場決定時とリバポがCL制覇した時には少しだけ買ったけど、今では基本的にマスコミには単なる一時情報だけしか期待していない。目先の利益も大切だろうけど、長い目で見れば損をしているのでは...。

同じコラムにあった次の文章に激しく同意してしまうのである。

サッカー文化の成長や定着は、メディアとの融合なくして実現はしない。そのなかで誤った記事や論調が横行してしまっては、文化が間違った方向に進んでしまいかねない。また記事内容から誤解を生み、選手自身が不利益を被ることもある。

立場はどうあれ、サッカーに精通したプロフェッショナルが支えてこそ、正しいサッカー文化が根付いていくはずだ。