巻がブレークしてる?

代表発表前の某局のアンケートで、実際にスタジアムに足を運んだファンから一番支持されたFW。まあその時点ではジーコの選考基準への反発のようなものが多分にあっただろうし、全体ではトップでなかった。しかし今回、実際に選出されたことで彼を取り巻く環境は激変しているようだ。一般的知名度が高くなかったはずの巻なのに、彼の名前をあまりサッカーに興味のない人から聞くほどに。日本のスターシステムはほんと恐ろしいや。背番号も11に決まり、ますますこの流れが加速する悪寒。


ジーコは会見で、巻のフィジカルとエリア内で仕事ができる点を評価していた。確かに体幹がしっかりしているからフィジカルの強さはあるし、日本では珍しくエリア内で体を張れる勇敢な選手。しかし彼の本質は典型的なストライカータイプではなく、メディアも取り上げている「ハート」や、エリア内での「スペース・メーキング」、「前線からの積極的な守備」にこそ特徴のある選手だと思っている。


ただ後の2つの特徴は、豊富な運動量を誇る千葉だからこそ発揮できるもの。エリア内で中盤からの飛び出しを生かすためのおとり役やつぶれ役になったり、後ろがマンマークで相手攻撃陣を捉まえた上でのチェイシングというように。そんな巻も今年に入って、少しゴールへの意識が変わったきた。だけど自分の中では未だに、オシムたんが叩き込んだであろう組織プレーができるFWというイメージの方が勝っている。


つまり周囲を生かしながら自分を生かすタイプの選手で、個人で打開できないという点では他のFWと似たり寄ったり。世界の大男たちが待ち構える中ではフィジカル面の長所は薄れてしまうし、巻のテクニックでは心もとない。ましてや運動量が少なく、ゴールへの意識が低いパサーが揃う中盤では、彼の特徴がどれほど発揮できるか疑問なのである。


ちょっと厳しいことを書いてみたが、それでも闘志を感じさせてくれる巻は応援している選手の一人だ。実は本人がいうような泥臭いゴールだけでなく、目を見張るようなファインゴールも多い。千葉は日本サッカー界の名門の一つだけど、現状は決して恵まているとはいえない。そんなクラブが、入団時には現場が匙をなげるほど下手だった巻を代表選手として送り出した。他のクラブの励みになるし、巻の成長を見守り続けたサポを思うと自分まで熱くなってしまうから。


巻は「考えて走れる」選手。決してタクティカルとは言えないジーコさん、代表でも巻をうまく走らせてくださいよと。


(´-`).。oO(出番は少ないだろうけど、クロアチア戦はとくに活躍して欲しいな...)