日本0−0(PK5−6)韓国

某海外サッカー・フォーラムのサウジ戦のトピを見てみた。第3者的には"Great Game"だったようで、アジアの2大パワーハウスが死力を尽くしたゲームとの評価が多かった(その他には、日本はFWのコンテストで負けたとか、以前と変わらずシュートすべき場面でのパスを回しているとかが目についた)。


今日の韓国戦もついこの間見たような試合展開だったが、大会を通して前回のACと比較すれば、サッカーの内容はよかったと思う。しかし結果は下回ってしまった。アジアカップで採用していたオシム流2バックのわかりやすい弱点は、SBの裏のスペースと日本人CBの対人能力。この間のU−20も同様の課題を露呈していたし、オシムたんが千葉の監督時代も消化不良なゲームが多かった。ましてや時間的に余裕のなかった代表では、微妙なバランスの上で試合をするのも無理はないことだろう。


内容を問わずに勝利に固執するのであれば前回のように守備的に戦う選択肢が当然考えられてよい。そしてそれは、アジアにおける日本の力関係を考慮すれば、現実的で悪くないアイデアだと思う。でもリスクを冒してでも攻めるのが、オシムたんのサッカー。
自分がオープン・フットボールを好むということもあるが、アジアレベルを超えた世界の強国との対戦を意識するのであれば、オシムたんのサッカーを追及していく方により可能性を感じる。もちろんチーム戦術の浸透や、リスキーなフォーメーション採用時の守備はとくに課題として認識すべきであるが、もし前回のような内容だったならば、個人的には優勝しても駄目出ししていただろう。


日本のサッカーを考える際にはどうしてもフィジカルを含めた個人の能力を考慮する必要があるし、とくにFWの得点力なんかは深刻な問題となってしまう。Jリーグでは外国人FWやMFに頼れるが、代表は日本人選手だけで攻撃を組み立て、ゴールを奪い、そして勝利することが重要な課題として立ちはだかる。
残念ながらオシムたんの試みは今回のアジア・カップでとても成功したとは言えないが、一方で日本サッカーの方向性は十分に感じることが出来たし、どんよりとした閉塞感のようなものが瓦解していくのを感じている。


問題は、日本のサッカー界がこの方向性を継続できるかどうか。日本では代表監督が変わるたびに、流行を追いかけるようにサッカーのスタイルも変わってきた。オシムたんになってから「走る」ということが強く意識され始め、今回の代表でも中澤、鈴木啓、遠藤、中村憲らは明らかにプレーの幅が広がっているし、代表に呼ばれていない選手にも意欲的な選手が数多く見受けられる。
ただ今回のACでは未だ消化しきれず、コレクティヴなチーム戦術の下でクリエィティヴィティを発揮するまでに至らずに、もがき苦しんだ。そしてアジアの各国はかつての日本のように進歩していて、わずか1週間ほどの準備期間で戦える時代ではなくなった。そんなアジア・カップだったと思う。


韓国戦後 オシム監督会見(スポナビ)
決勝Tスタッツ vsオーストラリア(JFA)、vsサウジ(JFA)、韓国vs(JFA)


(´-`).。oO(辞めないだろな...中村俊が10年前にオシムたんに出会ってたら...)