続々・海外移籍

中田浩選手のマルセイユ移籍が明日にも発表されるようですね。

英語の契約書は日本語のそれと比べて何倍もの量になります。「契約」に対して考え方や常識の違いがあるように、「移籍(身近な例だと転職)」についても同様です。どちらが優れているかではなく、その差をどう埋めるかということだと思います。

Jリーグでは通常1年契約なので、所属する選手が契約期間を満了してから海外に移籍するとルール上は移籍金は発生しません。選手は海外に行きたい、でも同じ移籍なら国内移籍の方がクラブの財政的は潤うのです。なんか変ですよね。

海外への選手流出を防ぐために複数年契約で移籍金を吊り上げる方策が考えられます。しかし複数年契約を締結していなくても、所属チームと選手が契約を延長してから移籍すれば移籍金を請求できるはずです。でも高い移籍金を払ってまで絶対に欲しい日本人選手はそうはいないのでしょう。これまで多くの日本人選手が、当初はレンタル移籍になったのも理解できます。

また複数年契約は確実にクラブの財政を圧迫し、ますますクラブ間の格差を増大させます。選手を売る経営は、もっとユースからの生え抜きの選手が出てこないと経営手段としては成り立たないでしょうし、日本の文化に馴染んでいるとはまだまだ言えません。

そしてなにより、これからJを目指すチームが全国に生まれつつある中で、クラブ間の格差が広がりすぎることを危惧してしまいます。日本で着実にサッカーが根付いていくためには、有力選手が海外でプレーすることも、国内のクラブが着実に増えていくこともどちらも大切だと思うからです。

サッカーは世界のスポーツだからルールは統一されているべきだと思いますし、いずれJFAルールも外国のルールに近づいていくでしょう。またしてもJFAルールを元にした日本の契約慣行の隙間を見事につかれたわけですし・・・。

しかしいきなり日本が、フットボールの歴史が長くクラブ間のヒエラルキーが出来上がっている欧州の常識を真似をして上手くやっていけるのかどうか、なんとなく不安です。
もう少しの間だけいろんな意味で日本的なものがあっても仕方ないのかな、なんてごまかして終わりにします。