4バックか3バックか

中東勢との2連戦が近づいてきた。スポーツ紙のサイトを見ていると、ジーコが4バックの採用を決断したような記事が増えてきている。元々4バック好きな自分にとっては歓迎すべきことなのだけど一つ不安がある。各紙の記事を読んでいてもベースとなる戦術がほとんど伝わってこないことだ。

もちろん対戦前に手の内を明かす必要はないが、これまでは事前にメンバーが発表された段階である程度の想像ができていた。今回もほぼメンバーは想定できるのだけど、WC予選でしかもアウェー、どういう戦術で臨むのかがイメージできないのだ。そしてそのことが、中東チームの情報が少ないことと相俟って、自分の不安を増大させている。

まず最初に、日本は引分けでもよいという戦い方をするのだろうか。さすがに延長Vゴール方式は廃止されたけれど、勝負にこだわる日本に引分けの文化はまだまだ根付いていない。確実に守りきるフットボールという点ではまだまだ列強に遠く及ばない日本、アジアといえどもWC予選の舞台で果たしてそんな芸当が狙ってできるのだろうか。

アウェーだから守ってカウンター?今のような遅攻型のチームにCLのバルサ戦でチェルシーが見せたような華麗なカウンターができるだろうか。これまでの日本では、3バックか4バックかで組織戦術が語られ実践されてきたけれど、カウンター戦術を駆使するチームは出てこなかった。あらかじめ狙いすましたカウンターは、あるエリアに意図的に相手を誘い込んだりして行うもので、たまたまボールを奪って速攻をかけるそれとは明確に異なる。まさか慣れないことをやりはしないだろうし、ブラジル人のジーコにカウンターが出来るとも思えない。

そして4バックの戦術理解度は十分なのか。これは3バックでも言えることだけど、現代フットボールのサイドプレーヤーはチームの命運を握るポジションで専門職だといえる。3バックの際の加地、今回4バックを採用すれば三浦と、その重要なポジションに慣れない選手を配置してきたのがジーコ。今回は海外組を重視しメンバーもある程度変わりそうな上に、キーになるポジションにそういう選手を置くことがさらに自分の不安を煽ってくれる。

もちろん同じことはDFにも言える。どのあたりでプレスをかけ始めるのか。4バックでも3バックでも高い位置でボールを奪っての速攻が主流の現代フットボールで、最近の代表は明らかにDFラインが低く余分なスペースを与えてしまっている。おそらく宮本がラインコントロールをすることになるだうが、引きすぎることで宮本自身の体格がハンディにならないかも心配だ。

ぶっちゃけ4−4−2というのは、両サイドバックがオーバーラップするためのシステムだ。ただサイドのスペースを埋めるだけであれば5バックでも構わない。というか中央が薄くなることを考えれば、バーレーンがホームのイラン戦でみせたように徹底的に高い位置からプレスをかけて、中盤のスペースを消してしまう方がよほど有効だと考えている。

最後になってしまったが、果たして中田英と中村は共存できるのか?、やはりこの点に注目してしまう。二人のサッカー観には大きな差があると感じている(実際はそれほどでもないのかもしれないが、そう見えてしまう)。大黒神社のエントリで少し書いたが、今の代表は組織としてのパスサッカーよりは個人の能力に頼る部分が大きい。ポジション・チェンジもフリーランニングも少なく、足下へ出されたパスをテクニックで打開していく南米の香り漂うフットボール。果たしてそういうスタイルで、中田英は効果的に機能するのだろうか・・・。

自分の好き嫌いで言えば、中田英が思い描くようなスピード感あふれる組織的なフットボールが好みだ。ラインをコンパクトに保ちチーム全体でプレスをかけての速攻。しかし今の代表は明らかに違っていて、その点に少なからず不満を感じている。でもわずかな合宿期間で中田英が思い描くような連携ができるとは到底思えないし、加えて怪我による最近の不調がどうしても心配になる。

自分は、トップ下はパサーであってはならないと考えている。パサーであると同時にゴール前に顔を出し得点する選手が理想だ。そしてただの攻撃型選手ではなく、守備もでき中盤でボールを奪えることも条件になる。3−4−1−2を採用するのであれば、トップ下は完調を条件に中田英の方がよいと思っている。(実はこのブログは、3−4−1−2と表記したいのを今まであえて3−5−2と書いていたりします)。

一方の中村、トルシエが最後まで悩んだように使い勝手が難しい選手だけど、今の日本で彼の能力を眠らせておくことはできない。なりよりこれまで結果を出してきた選手でもある。かと言って中田英を3−4−1−2のトップ下に置いた場合、中村のサイドは守備面の不安が大きすぎる。やはり4バックで高い位置のポジションに置いて中田英と共存させるしかないのだろう。

実際に共存できるかどうかは、長く2人が同じピッチに立っていないので、やってみないと分からない面もある。中村の特徴の一つにゴール前への精度の高いクロスがある。今の代表の攻撃は、中村を経由することが非常に多い。そして彼はその武器を最大限活用するために比較的自由にポジションを取ることを許されてきた。

ただそのことでゴール前にFW2人しかいなかったり、他の選手が攻撃参加するスペースを消してしまっているシーンが、これまで少なからず見られたのも確かである。しかし中田英が同時にピッチに立つことによって、その問題はある程度解消されると期待している。中村の自由度を過度に制限することなく、北朝鮮戦後半のような形になってくれればよいのだけれど・・・。

もう書きたいことは書いてしまったので、あとは信じて応援するだけなのだ!