フィンランド戦を前に

まず長谷部を長い時間プレーさせて欲しいと思う。アメリカ戦のパフォーマンスはよかったが、もう攻めるしかない局面でやることがはっきりしていた。そして相手の運動量が落ちてきた時間帯でもあり、比較的自由にプレーできた面がある。しかし層の厚い中盤の底に食い込むためには、守備面の連携が欠かせない。緊迫した状況でどの程度バランスを保ちつつ攻撃面で特徴を発揮できるか見てみたい。


同じことは阿部についても言える。ジーコは守備固めで起用したり、中盤の底に1枚残ることが多いなど、彼の守備面を評価しているように思える。しかし低い位置からのボールの散らしと攻め上がりも彼の特徴であり、そして相手のエースを殺すマークに長けた選手。本当はもう一つ後ろで宮本にはないリベロ的な役割を期待したいのだけど・・・。


そして巻。たまにとても鮮やかなゴールを決めてくれる選手だけど、得点能力はそれほど期待していない。それよりターゲットとしてのつぶれ役やスペースへ走り出して起点となる動きのほうがまだ期待できるように思う。残念ながらエリア内のスペースメーキングの動きは、後ろからの攻め上がりが少ない代表ではほとんど機能しているとは言えないが、スピードのあるFWとコンビを組めばもっと生きてくるだろうにと思う。


あえて当落線上とも言いがたいこれら3選手の名前をあげたのは、アメリカ戦で出来が良かったこともあるが、どうしてもメンバー固定の弊害を感じてしまうから。ジーコは戦術に選手を当てはめるというよりは選手ありきの傾向が強い監督なので、優先度の高い選手がいて当然だろうし、いわゆる序列があることも理解できる。そしてそれらの選手を最大限に生かそうとこの時期になってもシステム面で試行錯誤を繰り返しているのだろう。


しかしWCで戦うため、より高いレベルへ飛躍するためには新しい可能性を探ることは不可欠で、競争原理は必須のものであるはずだ。代表の現状がそこそこのレベルで満足している集団になっているように感じてしまうのは自分だけなのだろうか?